シリカゲルとは

ケイ酸のコロイド溶液※1 を凝固させてできた非晶質※2構造を持つ化成品です。水ガラス(ケイ酸ナトリウム水溶液)に酸を加えて製造する方法が一般的です。20世紀初頭に、潜水艦内部の乾燥を目的として、アメリカから量産が始まりました。構造は多孔質構造で、その内部はコロイド粒子の凝集した粒子の間にできる様々な大きさの細孔※3 を持ちます。細孔の構造は三次元網目構造で表面近辺は大きな径の細孔が多く、内部になる程次第に径が小さくなる分布を示します。シリカゲルの組成は二酸化ケイ素(SiO2)が99%以上を占めます。この二酸化ケイ素は食品添加物にも指定される、不活性で安定した物質です。シリカゲルの凝集体の空間は小さいものから順にマイクロ孔、メソ孔、マクロ孔で構成されます。シリカゲルの表面はO原子やOH基が多数存在し、水やそのほかの極性物質を選択的に吸着します。水分に対して吸着能力が低下したシリカゲルは、過熱することで再び能力が回復します。これはシリカゲルに付着していたH2Oが気相に戻るためで、これを脱着と呼びます。
マイクロ孔に吸着した水は約110℃、マクロ孔では約150~170℃で脱着します。
シリカゲルに水をかけると粒子は激しく破砕します。その理由は、一次粒子間に水がはいりこむことで凝集収縮が進んだためです。
シリカゲルは大きな比表面積を持ち、細孔径の制御が可能であるところや耐熱性に優れることから触媒の担体やクロマト充填材として利用されます。また、マイクロサイズの微粉末シリカゲルの応用例として固結防止剤や香料の担体として食品に添加されています。この他に研磨剤,増粘剤、塗料のつや消し剤としても利用されています。

シリカゲルの吸湿メカニズム

シリカゲルの吸着は表面上のシラノール基による科学的吸着減少と、木炭や活性炭と同様に水蒸気やガスなどの分子を強く固体表面に結合させる物理的吸着によるものがあります。大量の水蒸気を取り込む吸湿は後者(物理的吸着)の影響下にあり、微細な空間の表面積が乾燥剤としての性格を決めることになります。コロイド粒子間が密なことより、それぞれの 細孔の径が小さく、表面積がとりわけ大きいものをA型シリカゲルと呼びます。 低湿度時における水蒸気の吸着力に優れるため、食品、電子、精密部品など包装用乾燥剤として幅広く使用されます。

B型シリカゲルはA型シリカゲルに比べると、細孔の径をかなり大きく制御したものです。単位当たりの表面積は小さくなりますが、吸着等温線(下記グラフ参照)でもわかるように、関係湿度が高くなるに従い大量の水蒸気(ガス)を吸着する特長を持ちます。同時に、常温でも関係湿度の低下により、保持した水蒸気(ガス)を吐き出す(脱着※6)緩慢な調湿作用により、高湿度時および乾燥状態での物性の変化を防ぐ働きをします。
主な使途として床下調湿用、建築用、楽器用など、空間の雰囲気的湿度を調湿する目的で使用します。

※ 1 顕微鏡でも目に見えない、直径約10万分の1cm程の粒子が、水などの溶媒に溶けた溶液のこと
※ 2 原子の配列が規則的でなく、無秩序かつ不規則、またその表面は曲率の大きな凹凸状
※ 3 表面にはいろいろな形で凹凸ができるが、凸部の深さが直径より大きな孔を細孔と呼ぶ。
※ 4 ある固体の表面に、他の物質(分子やイオンなど)が結合して集まる現象
※ 5 主として物質の分散力に起因、ファン・デル・ワース吸着とも呼ばれる。結合力は分散力に依存するため比較的弱い。一方、化学的吸着は電荷移動や化学結合などを伴うもの。シリカゲルと異なり、塩化カルシウム、酸化カルシウム(生石灰)などが該当し、電子の授受による化学結合を結成するため結合力は非常に大きい。
シリカゲルと異なり、塩化カルシウム、酸化カルシウム(生石灰)などは化学的吸着による。
※ 6 吸着に対して脱着と呼ぶ。一度吸着したものが界面から離れることで吸着量も減る現象。
※ 7  JIS規格値は別紙グラフ参照

物理的吸着と科学吸着について

  物理的吸着 化学吸着
相互作用 ファンデルワールス力
疎水性相互作用
共有結合 水素結合 イオン結合
吸着速度 速い 遅い
吸着速度の
温度係数
大(活性化エネルギー)
可 逆 性 可逆性あり 不可逆の場合もあり
選 択 性 なし あり
吸 着 量 多分子層吸着 単分子層吸着
吸 着 熱 凝縮熱より少し大 化学的反応熱(物理的吸着より大)
吸着分子間
相互作用
引力 反発

シリカゲルJIS規格基準

項   目

JIS規格値

A型 B型

吸 湿 率

相対湿度20% 8以上 3以上
相対湿度50% 20以上 10以上
相対湿度90% 30以上 50以上
含 水 率 2以下 2以下
P   H 4~8 4~8
比抵抗 (Ω・cm) 3000以上 3000以上

吸湿率の算出方法

        シリカゲル吸水量-シリカゲル乾燥重量
吸湿率(%)=   ——————————–     × 100 
        シリカゲル乾燥重量

A型シリカゲルとB型シリカゲルの簡易比較一覧

 A型シリカゲル 
  • 1gあたりの細孔の表面積は約700㎡
  • 低湿度時の吸湿力に優れます
  • 再生に150℃以上の高温を要します
  • インジケーターとして塩化コバルトを担持させた青シリカゲルを使用します
  • 食品の包装時に乾燥剤、および電子部品、精密部品、化学機器、医薬品等の湿害防止に使用
  • 水溶性、腐食性、潮解性はありません
 B型シリカゲル 
  • 1gあたりの細孔の表面積は約450㎡
  • A型シリカゲルに比べると細孔の径が大きいため、高湿度時により多くの水蒸気を吸着します
  • 低湿度の吸湿はA型シリカゲルより劣ります
  • 常温でも吸湿はA型シリカゲルより劣ります
  • 主に楽器、船舶、床下調湿用に使用
  • 水溶性、腐食性、潮解性はありません
乾燥剤の使用量 JIS-A0301による求め方

テクノスナカタ

R・A・t・(h1-h2)・k1
————— 
+ k2・D
(C2 – C1) × 10-2 


W:乾燥剤の使用量(g)  
R: 防湿包装材料(防湿フィルム等)の透湿度(gg/㎡ 24h)
A:防湿包装材料(防湿フィルム等)の表面積 (㎡)
t:包装期間(輸送および保管する期間) (日)
h1:包装期間中の外気の平均湿度(%)
h2:包装期間中の包装内部の平均湿度 (%)
K1:包装材料の種類と、包装期間中の平均湿度によって定まる係数
C1:使用開始時の乾燥剤の吸湿率
C2:包装内部に許容される最高限度の相対湿度における乾燥剤の平衡吸湿率(%)
K2:包装内の吸湿性のある包装材料の吸湿率によって定まる係数
D:包装内の吸湿性のある包装材料の質量 (g)

K1の参考表

包装材料の種類と各温度におけるK1の値

C1 包装開始時の乾燥剤の吸湿率(%)
C2 包装内に許容される最高限度の湿度における乾燥剤の平衡吸湿率(%)
C3 包装内の許容される最高限度の湿度における吸湿性のある包装材料の平衡吸湿率(%)
C4 包装内に入れるときの吸湿性のある包装材料の平衡吸湿率(%)

主なシリカゲル製品

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