第十一話 美術館、博物館に倣う骨董品、美術品の保管と調湿剤シリカゲルの役割
2021年3月24日公開
美術館、博物館において、絵画、彫刻、工芸品、古文書などの文化財の保管には品質劣化を招かないため数々の環境因子に向けた対策が必要となります。
光は化学構造に変化や劣化をもたらし、紫外線であれば絵画、染物、衣装などを色落ち(退色)させ、赤外線も表面温度を上昇させるため、展示品ではいずれの照度にも制限を設けているようです。
次に、大気中に含まれる物質でいえばアンモニア、酢酸、またホルムアルデヒドなどは化学変化による危険性を指摘されます。加えて、世界の関心ごと、二酸化炭素(CO2)の濃度上昇も品質劣化に影響するといわれます。
このほか重要因子として温度と湿度があり、含水率、水分活性等の指標は適正湿度の判断基準となります。
温度の管理でいえば理想はおおよそ17℃~20℃、湿度は金属類、出土遺跡を除けば設定湿度は概ね50%~60%、また、この湿度差を24時間内では5%以内に抑えることが推奨されています。
さて、この湿度域において比較的スピーディーに空調を補助する役割を務めるものに調湿剤があります。 調湿剤シリカゲルB型による精度の高い湿度設定は専門的なところとなりますが、同品は一般にも衣類、皮革類、木製品の保管からピアノ、バイオリン等の調湿目的として使用されております。