塩化カルシウムとは
塩化カルシウムとは、塩素とカルシウムの化合物で、海水など自然界にも存在する無色の無機塩類です。水やエタノールに溶けやすい性質を持ち、強い吸湿性・潮解性といった特性を利用して、除湿剤などに幅広く利用されています。 |
製造工程
アンモニアソーダ法(ソルベー法)の副生成物 炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)製造工程で、塩化アンモニウムに水酸化カルシウム(石灰乳)を反応させて製造します。 2NH4Cl + Ca(OH)2 → CaCl2 + 2NH3 + 2H2O この反応では塩化アンモニウムからアンモニウムを取り出しており、このアンモニウムは炭酸ソーダの原材料として再利用されます。そしてこの反応の副産物として塩化カルシウムが生成されます。 |
吸湿性
活性炭、シリカゲルなどは物理的吸着(ファン・デル・ワース吸着)をすることで吸湿しますが、塩化カルシウムはその潮解性により空気中の水分と共有結合していきます。常温での反応では主に6水和物が化合されます。 (29℃以下→六水和物 29~45℃→四水和物 45℃以上→二水和物) 以下反応式 CaCl2+ 6H2o → CaCl2・6H2o このように反応することで1モルの塩カルに対し、6倍の水を給水することが分かります。 塩化カルシウムの蒸気圧は大気に比べて低いため、蒸気圧差により大気の水蒸気圧と平衡するまで吸湿を続けます。 吸湿後の水和物は、無機系および有機系吸液剤を用いることで固化(ゲル化)させることができます。 |
塩化カルシウム 主な使用用途
凍結防止剤 塩化カルシウムの使途として道路の凍結防止、融雪、霜柱防止があります。 道路面にまかれた塩化カルシウムは、雪や空気中の水分と反応することによって水和物を生成しますがこれによって凝固点降下が起こります。(液体が個体に凝固する際の温度が下がること) 水の凝固点が0°なのに対し、塩化カルシウム水和物の凍結温度はおよそー50°のため、道路面の凍結を防ぎます。また水和反応を起こす際溶解熱が多く発生するため、融雪の効果もあり、凍結防止剤として幅広く使用されています。 防塵剤 塩化カルシウムの強い吸湿性を利用して防塵材としても使用することができます。地面などにまくことで空気中・土中の水分を吸収し、常に水分を含んでいることでホコリが舞うのを防ぎます。 |
凍結防止剤としての塩化カルシウム・マグネシウムの違い
凍結防止剤として一般的に塩化カルシウム・塩化マグネシウムが使用されていますが、それぞれの性能の違いを記述します。
1凍結防止効果
塩化カルシウム | 塩化マグネシウム |
融点効果力が強く、-55℃以下の厳寒地でも効果を発揮します。 水と反応して発熱するため、速効性が高いです。 | 凍結防止効果は塩化カルシウムよりやや弱く、-33℃までが適用範囲です。 塩化カルシウムと同様に発熱しますが、効果は比較的穏やかです。 |
2環境への影響
塩化カルシウム | 塩化マグネシウム |
塩分濃度が高く、土壌や植物への塩害のリスクがあります。 高濃度では地下水汚染につながる可能性もあります。 | 塩化カルシウムよりも塩分濃度が低いため、 塩害リスクは小さいとされています。 マグネシウムイオンが土壌改良に役立つ場合もありますが、 濃度が高いとやはり塩害の可能性があります。 |
3金属腐食性
塩化カルシウム | 塩化マグネシウム |
腐食性が高く、車両や道路の金属部分にダメージを与える可能性が高いです。 腐食抑制剤を併用することで軽減が可能です。 | 腐食性は塩化カルシウムよりもやや低いですが、依然として金属への影響が懸念されます。 |
4人体への影響
塩化カルシウム | 塩化マグネシウム |
皮膚や目に触れると刺激を引き起こす可能性があります。 高濃度の塩化カルシウム溶液は腐食性があり、直接触れると皮膚が荒れることがあります。 | 塩化カルシウムと同様に、皮膚や目に刺激を与える可能性がありますが、影響はやや穏やかです。 ただし、長時間の接触や高濃度では注意が必要です。 |
塩化カルシウム・ナトリウム・マグネシウムの成分比較
塩化カルシウム | 塩化ナトリウム | 塩化マグネシウム | |
分子量 | 110.98 | 58.44 | 58 |
PH | 8-10 | 6-7 | 4.5-7.0 |
凝固点(最大濃度) | -51℃ | -21℃ | -33.3℃ |

主な塩化カルシウム製品
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