分かりやすく解説!工場、倉庫内での錆対策   錆の発生原因と対処法とは??  

錆の発生は年間を通じてみられますが、水蒸気量の多くなる夏の時期と厳寒期においては倉庫、工場内において温度差による結露が原因となるケースが増加します。

昨今、暖冬傾向が続いておりますが、気温が高ければそれだけ大気中に湿気(水蒸気)が存在しやすくなるため、急激に温度が低下すると、夏場と変わらぬほどの結露が発生する可能性もあります。

改めて錆の発生条件といえば、酸素が主な原因となります。水ではなく水蒸気でもその量が多ければ、金属表面を水の膜で覆うため、大いに影響を与えます。

この金属がさびる現象を一般に腐食と呼び、取り囲む環境物質との化学反応により金属が失われていく現象を意味します。

金属の種類は数多くありますが、そのうち金、銀、パラジウムは大気中でとても安定しているため、錆びることはありません。

このほか亜鉛、銅、アルミ、ステンレスなどは、元々錆びにくいため、メッキ材としても使用されます。

さて、地上において最も活用されている金属といえばです。

この鉄は賦存量も多く、また加工しやすいため、有史以来大量に使用されてきましたが、酸素と水の供給次第では金属の形が無くなるまで錆が継続してしまうといった少々厄介な面も持ち合わせています。

そこで、工場や倉庫内に錆が多発する場合では、以下のこと先に検証する必要があります。

  •  錆発生の気象要因について     主に温度・湿度との関係に注意 
  • 錆発生の汚染要因について     空気中における亜硫酸ガス・海塩粒子・ほこりの量

先に気象要因については、工場、倉庫の環境が結露の発生する条件であるかを精査します。

湿度が高い状態が続くとわずかな温度の低下でも結露の生じる露点温度に達します。

仮に24時間空調を続けていれば露点温度にはなりません。しかし、それが難しいようであれば、出来る限り温度変化が少なくなるように工夫します。部分的にいえば断熱材を使用することに加え、業務用除湿剤、乾燥剤を使用する場合であれば、JIS乾燥剤使用量の計算式を目安に関係湿度50%を目標値とします。

次に汚染要因の因子で最も影響が大きいものに海塩粒子が挙げられます。

海岸の近くではこの目に見えない海塩(しぶき)が大気中を漂っています。実際、大気中には程度に差こそあれ、ほぼ塩分が含まれまれており、この塩素の影響は海岸から約30Kmにも及ぶともいわれます。

この海塩は金属に付着すると水蒸気を呼び込みやすく、また、これらが水に溶けると塩化物イオンとして金属の腐食を促進します。

次に問題となるのは、特に工業地帯で見られる燃焼ガスの一部の硫黄酸化物です。

主に亜硫酸ガスと呼ばれ、世界の関心ごとでもある化石燃料の燃焼に伴うもので、金属の腐食を促進させます。

ほか、自動車の排気ガスに由来する窒素酸化物も錆の因子に加わります。

これらが長期に大気に及ぶと酸性雨の原因にもなり、橋梁、建物に深刻な被害をもたらすことも知られています。

ほか、意外にもほこり(埃)は毛細管現象により湿気を引っ張るため、出来るだけ金属の表面に付着させないよう注意する必要があります

以上は環境的な要因であり、それぞれの事由ごとに対策を立てることが必要となります。

尚、錆発生を根本的に抑制するとなると、やはり酸素と水(湿気)の制御を主な対策とします。

このうち酸素の制御といえば、金属をバリヤ性のある袋で包装して空気を抜く(脱気)、あるいは窒素、二酸化炭素などへの安定したガス置換の方法があります。

次に、水(湿気)の制御となれば、酸素よりも比較的与しやすくなります。

こちら保存環境を整えることに加えて、除湿機、業務用乾燥剤、除湿剤を使用することで、関係湿度をある程度は低下させることが可能となります。<空調設備のない倉庫、工場における湿気対策 (株)テクノスナカタ HPより>

尚、除湿機の使用で注意が必要なところは、運転を停止すると同時に建屋内もしくは大気中より、内部より水蒸気量の多い空気が侵入するところです。

また、乾燥剤においては、大別すると塩化カルシウム系シリカゲルA型シリカゲルB型とありますが、いずれも設置する環境に応じた種類の選択、収納容積に応じた使用量を確認した上で使用することが必要となります。