建築様式の違いから見る倉庫の湿気、カビ、          結露対策  <鉄筋コンクリート・スレート>

近年、世界各地で大規模災害が発生しており、その原因の一つに地球温暖化があるといわれます。

日本でも、この100年間にかけて気温が1.2℃上昇したようです。

温度が1℃上昇すると、空気が含むことのできる最大の湿気量(飽和水蒸気量)は約7%増加するため、一度雨が降ると各地で豪雨になる回数が増えると分析されています。

因みに各温度ごとの飽和水蒸気量(水蒸気の最大値)は以下となります。

温度0℃*4.87g 10℃*9.40g 20℃*17.0g 30℃*29.6g 40℃*48.6g   <単位は1㎥あたり>

この数字より、温度が高くなるほど空気中に湿気(水蒸気)が抱えられることが分かります。

そこで商品や資材を管理する倉庫では、温度の影響に注視する必要があります。

理由として、空気中に含まれる湿気(水蒸気量)が多くなるほど結露が大量に発生することで錆の範囲が拡がり、また、カビにおいては生息条件の長期化が被害拡大につながるからです。

さて、倉庫は大別すると普通倉庫、冷蔵倉庫と、水上に木材を置く水上倉庫の3つに分類されますが、一般に倉庫といえば普通倉庫であり、先ずは上のイラストにあります大波スレートと小波スレートを組み合わせた背の高い建屋を思い浮かべます。

このスレート製の建屋は気密性からみれば鉄筋コンクリート製に及ばず、そのため絶対湿度(水蒸気量)がエリアごとに異なる傾向にあります。

因みにこの実証は異なる場所を設けて一定の期間、温度と湿度を測定することで容易に掌握できます。

たとえば温度、湿度とも常に他よりも高い場所があれば、先ず、その理由を解き明きかします。

そこに水蒸気の発生源がある場合は取り除く、また、荷物のレイアウトに問題があれば組み換えを検討をします。

このほかに換気扇、シーリングファン(天井扇風機)の増設、あるいは元々設備があれば、運転時間の延長も選択肢に加えます。

次に、倉庫内のコンテナボックス、カート、また仕切られた空間では空気がよどむことで温度が低くなるため、相対湿度の高い状態が続きます。

これが該当するようであれば、大容量の業務用除湿剤の使用をお薦めします。

こちらはディスポタイプ(シリカゲルA型および塩化カルシウム系除湿剤)と再生タイプ(シリカゲルB型使用)がありますが、交換や点検の有無、または機密性の状況により使い分けをいたします。

次に鉄筋コンクリート製の倉庫は機密性が高く、水蒸気量(絶対湿度)が全体に平均化する傾向にあります。

そのため水蒸気が大量に入り込むと、移動により全体に充満する危険が伴います。

また、コンクリートは建物の熱容量(熱を蓄える性質)が大きいため、スレート製の建屋と比較して温度降下は少なくなりますが、元々コンクリートが断熱性を持たないため、外部より冷気が入り込むと同時に表面に結露が生じることがあります。(夏型結露は代表的な現象)

そこではコンクリートの上には断熱機能を伴う除湿シートを敷くことで対策とします。

また、新築のコンクリート建築では、約1年はコンクリートに含まれる自由水(余剰水)が水蒸気となり放散し続けるため、仕切り空間においては除湿機および大容量の業務用除湿剤の使用が効果を発揮します。