夏型結露について、梅雨や夏季における結露のしくみや対策について紹介します。
結露のメカニズム
まず初めに、結露の条件は、空気が含むことができる水蒸気が限界値を超えたときに発生します。この飽和水蒸気量は気温によって変化しますが、この気温と湿度の関係性についてをグラフ化したものが湿り気路線図になります。

グラフの横軸が乾球温度(気温)縦軸が絶対湿度(空気が含む湿気の絶対量)を、曲線で示されている部分は相対湿度(%)を表しています。これにより、特定の乾球温度における空気の湿気の状態を視覚的に確認することができます。例えば、任意の乾球温度と相対湿度の交点を見つけることで、空気が含む水分量(絶対湿度)や露点温度を一目で把握することができます。
例えば、梅雨時の外気温が27℃で相対湿度が80%の場合、下の図では赤い〇で示されるポイントに該当します。この空気が冷房の効いた室内に侵入すると、室内の温度低下に伴い、相対湿度が徐々に上昇します。これは、空気が持つことのできる水蒸気量が温度とともに減少するためです。
空気が23℃まで冷えると、相対湿度は100%に達します。(青い〇のポイント)この時点が『露点温度』であり、ここからさらに温度が低下すると、余分な水蒸気が水滴として放出され、結露が発生します。

夏型結露とは
夏型結露は、主に夏季に屋内外の温度差と湿度差が原因で発生する結露現象で、特に高温多湿の地域や建物で問題となることがあります。そのメカニズムを以下に詳しく説明します。
1.外気の高温多湿と屋内の低温乾燥
夏季には、外気温が高く、湿度が非常に高い状態(例えば気温30℃、相対湿度80%)です。このような空気は大量の水蒸気を含んでいます。
2.外気の侵入と冷却
一方、室内の空気はエアコンの使用によって冷却されているため、外気がサッシの隙間などを通して室内に侵入することで急激に冷やされます。空気が冷やされる過程で、露点温度に達すると、飽和状態となり、それ以上の水蒸気を含むことができなくなります。余分な水蒸気は液体(結露水)として表面に現れます。この現象が、夏型結露の基本的なメカニズムです。
この夏型結露は冬型結露に比べると空気中に含まれる水分量が多くなることから被害も甚大となります。
結露の発生箇所
壁や天井の内部
夏型結露は建物の外壁に近い部分や、断熱材の内部で発生しやすいです。これらの場所では、外気の高温多湿な空気が断熱材(ウレタン、スタイロフォーム、ロックウール等)の隙間を通じて侵入し、室内の空気に冷却されて結露が生じることがあります。
布基礎・独立基礎の床下
住宅の基礎部分で地盤が露出している場合、地面から湿気が上がってきて、多湿の空気が基礎内に溜まりやすくなります。その結果、床下内の温度差により床組み・床材で結露が発生します。また地盤をコンクリートで固めたべた基礎であってもコンクリートの隙間などから水分が蒸発することにより、基礎内で結露が発生し水たまりを作るケースが報告されています。

天井裏
天井裏は外気が侵入しやすい構造のため、梅雨時や夏季にはとくに湿度が高くなる傾向があります。天井裏の外側(屋根)は日中に太陽光で加熱されますが、夜間になると冷却します。この温度変化により、天井裏内部の空気も冷やされ露点温度に達します。

窓や金属部品
窓ガラスやアルミサッシなど、熱伝導率が高い部分は外気との温度差が大きいため、結露が目に見えやすい形で発生します。
とくに木質建材の表面で発生した結露はカビの繁殖・腐食のリスクを高めるため、十分な注意と対策が必要です。
夏型結露の対策
夏型結露を防ぐために、以下のものがあげられます
断熱と通気:高性能な断熱材を使用し、外壁と断熱材の間に通気層を設けることで、外気の侵入を抑えます。
気密性の向上:外気の侵入を防ぐため、建物の隙間を埋め、気密性を向上させます。
防湿シートの使用:外壁や天井に防湿シートを設置することで、湿気の侵入を防ぎます。
調湿剤の使用:常温で吸放湿を繰り返す調湿剤を使用することで結露を抑制します。
ケース1:夏場の床下
日本における夏場の日中(7月下旬):外気温36℃の住宅ベタ基礎の床下内温湿度を以下のように想定することができます
温度:30℃ 湿度:90% (下記図赤い〇)
日本の夏季昼夜気温差は3~8℃程度なので、これが25℃まで冷えると想定します (下記図青い〇)
温度:30℃、湿度:90%がもっている絶対水蒸気量は0.024kg/kg(DA)、25℃まで冷えた空気が持てる絶対水蒸気量は0.020kg/kg(DA)となるため、露点温度に達し、絶対水蒸気量の重量差0.004kg/kg(DA)が結露水として現れます。(下図参照)

このことから、夏季の床下内空間は昼間に高温多湿の状態が続き、夜間になると温度が下がることで常に結露が発生しやすい状態であることがわかります。
※床下内の湿度は基礎内形状や構造、換気設備の有無等にもよります
シリカゲルB型の調湿能力
シリカゲルB型は、周囲の湿度に応じて吸湿と放湿を繰り返す特性があります。そのため、床下などに設置しておくだけで、湿度を調整し続けます。
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床下・天井裏・窓際・その他-住宅内各所の結露対策例
以下は、シリカゲルB型を主成分とした夏型結露対策製品一覧です。
それぞれ形状や成分比が異なるため使用状況に合わせて選択いただけます。