塩化マグネシウムとは
塩化マグネシウム(MgCl₂)は、マグネシウムと塩素からなる無機化合物で、水に溶けやすく高い吸湿性を持つ特性があります。天然には海水や塩湖、塩化マグネシウム(MgCl₂)は、海水や塩湖に多く含まれる無機塩の一種で、高い吸湿性を持つことが特徴です。一般的には「にがり」として知られ、豆腐を作る際の凝固剤として使用されることでよく知られています。 塩化マグネシウムは、生体内にも微量に存在し、筋肉や神経の働きを助ける重要なミネラルの一つです。 |
製造工程
塩化マグネシウムの製造工程はさまざまにありますが、主に、海水や塩湖の水を原料とした製造方法が一般的です。いずれの工程においても集めた海水に電解・脱水をすることで塩化マグネシウムが取り出されます。 |
吸湿性
塩化マグネシウム(MgCl₂)は高い吸湿性を持ち、空気中の水分を吸収しやすい性質があります。特に、湿度が高い環境では吸湿が進み、潮解(液体化)します。 この吸湿性は、塩化マグネシウムが水と結合して水和物を形成する性質によるものです。以下の反応式で示されます。 MgCl2 (分子量: (58))+6H2O (分子量: (18×6))→MgCl2⋅6H2O (分子量: (58+108)) この反応では、無水の塩化マグネシウムが周囲の水分を吸収し、六水和物(MgCl₂·6H₂O)になります。 この反応により1モルの塩化マグネシウムが、物質量比約6倍の水を給水することが分かります。 |
塩化マグネシウム 主な使用用途
凍結防止剤 塩化マグネシウムは周囲の水とすばやく反応し、融解熱を発生・凝固点降下を起こすことで、融雪効果・凍結防止効果があります。低温でも効果を発揮しやすく、環境負荷が比較的少ないことから、冬季の除雪・防滑対策として広く使用されています。 防塵剤 塩化マグネシウムは高い吸湿性を持ち、付近の水分を吸収して路面や土壌の表面を湿らせることで、粉塵の舞い上がりを抑えます。運動場や公園の地面にまくことで、土ホコリが舞うのを防ぐ効果があります。その他、未舗装道路や工事現場、倉庫内の粉塵対策としても使用することができます。 |
凍結防止剤としての塩化カルシウム・マグネシウムの違い
凍結防止剤として一般的に塩化カルシウム・塩化マグネシウムが使用されていますが、それぞれの性能の違いを記述します。
1凍結防止効果
塩化カルシウム | 塩化マグネシウム |
融点効果力が強く、-55℃以下の厳寒地でも効果を発揮します。 水と反応して発熱するため、速効性が高いです。 | 凍結防止効果は塩化カルシウムよりやや弱く、-33℃までが適用範囲です。 塩化カルシウムと同様に発熱しますが、効果は比較的穏やかです。 |
2環境への影響
塩化カルシウム | 塩化マグネシウム |
塩分濃度が高く、土壌や植物への塩害のリスクがあります。 高濃度では地下水汚染につながる可能性もあります。 | 塩化カルシウムよりも塩分濃度が低いため、 塩害リスクは小さいとされています。 マグネシウムイオンが土壌改良に役立つ場合もありますが、 濃度が高いとやはり塩害の可能性があります。 |
3金属腐食性
塩化カルシウム | 塩化マグネシウム |
腐食性が高く、車両や道路の金属部分にダメージを与える可能性が高いです。 腐食抑制剤を併用することで軽減が可能です。 | 腐食性は塩化カルシウムよりもやや低いですが、依然として金属への影響が懸念されます。 |
4人体への影響
塩化カルシウム | 塩化マグネシウム |
皮膚や目に触れると刺激を引き起こす可能性があります。 高濃度の塩化カルシウム溶液は腐食性があり、直接触れると皮膚が荒れることがあります。 | 塩化カルシウムと同様に、皮膚や目に刺激を与える可能性がありますが、影響はやや穏やかです。 ただし、長時間の接触や高濃度では注意が必要です。 |
塩化カルシウム・ナトリウム・マグネシウムの成分比較
塩化カルシウム | 塩化ナトリウム | 塩化マグネシウム | |
分子量 | 110.98 | 58.44 | 58 |
PH | 8-10 | 6-7 | 4.5-7.0 |
凝固点(最大濃度) | -51℃ | -21℃ | -33.3℃ |

主な塩化マグネシウム製品
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