美術館、博物館に倣う骨董品、美術品の保管と調湿剤シリカゲルの役割

美術館、博物館において、絵画、彫刻、工芸品、古文書などの文化財の保管には品質劣化を招かないためのマニュアルが数多く存在します。

また、その専門知識を習得された学芸員は、保管を歴史を紡ぐ重要な業務と位置づけて熱心に観察と検証を繰り返されています。

長年の歳月を経てこの時代に至るまで姿と形を変えないのは、対象ごとに適した管理方法があると考えざるを得ません。

そこで数々の環境因子のうち、先ず思い浮かぶところに光の影響があります。

光は化学構造に変化や劣化をもたらし、過度な紫外線であれば絵画、染物、衣装などを色落ち(退色)させるといわれます。

また、赤外線も表面温度を上昇させるため、展示品ではいずれの照度にも制限を設けているようです。

つまり、展示しない場合でもなるべく暗所に保管することが得策です。

次に、大気中に含まれる物質は品質にも影響します。

アンモニア、酢酸、また少し前には接着剤にも含まれたホルムアルデヒドなどは化学変化による危険性を指摘されます。

加えて、近年では世界中の関心事ともいえる二酸化炭素(CO2)の濃度上昇も品質劣化に影響するといわれます。

このほかにも重要因子として温度湿度があります。

湿気の影響といえば、言わずもがなカビの影響があります。含水率、水分活性等の指標は適正湿度の判断基準となります。

また、過度の温度変化は物性に悪影響を与えるほか、結露により錆の発生を招く要因にもなり得ます。

この温度と湿度はいずれも計測できるため、膨大なデータによりその影響も分かりやすく分類されています。

先ず温度管理でいえば、理想はおおよそ17℃~20℃です。

17℃といった世界的基準値もあるようですが、なぜか人間が快適でいられる温度帯でもあるため、対象となる空間に適応できる空調機器さえあれば難しくないように思えますが(電気代の問題は省く)、温度差を広げない工夫が絶えず求められるところです。

一方、湿度の管理といえば湿気(水蒸気)が侵入してきたり、また至る所に発生源が存在することから困難を極めます。

この場合の湿度とは関係湿度を指すもので、飽和に対して何パーセントの湿気(水蒸気)が空気中に存在しているかを表します。

文化財では金属類、出土遺跡を除けば設定湿度は概ね50%~60%、また、この湿度差を24時間内では5%以内に抑えるとされています。

さて、この湿度域において比較的スピーディーに空調を補助する役割を務めるものに調湿剤があります。

この調湿剤は保護する対象において化学変化などを起こさない安定した物質が前提となりますが、二酸化ケイ素を主成分としたシリカゲルがよく知られております。

このシリカゲルのうちB型はおおよそ湿度50%以上より吸湿をはじめ、高湿度になるほど吸湿するため、たとえば空調を止めた時などの湿度の急激な上昇を抑えます。

また、急激な湿度低下時には、一度含んだ水分を放湿することで過乾燥を抑える働きがあります。

シリカゲルB型は、この吸放湿の作用を比較的早い反応で繰り返すことで湿度を安定させる働きを持ちます。

尚、シリカゲルB型による精度の高い湿度設定は専門的なところとなりますが、同品は一般にも衣類、皮革類、木製品の保管からピアノ、バイオリン等の調湿目的として使用されております。

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