湿気で困った時、分かりやすい乾燥剤の選び方 <シリカゲル・塩化カルシウムほか>
保存対象を乾燥したまま保存したいけど、どのような乾燥剤が適しているか?
塩化カルシウム、シリカゲルA型、B型、酸化カルシウム、ゼオライト等を扱うため、こうした質問を度々、頂戴いたします。
そこで、先ず保管方法を質問いたしますと、容器、ビニール袋といった小さなものから、海外向け木枠梱包、鉄道5tコンテナ、海上輸送用コンテナなど、そこは様々な回答を頂きます。
また、保存する対象といえば文化財を含めて古文書、刀剣など学芸員が取り扱う専門性の高いものより、衣類、呉服、かばんといった家庭用品、また、産業用に至っては機械、自動車部品、精密機器、ポリマー、更には配電盤、タービン、プラントに至る大型の案件も含まれます。
いずれも湿度によるカビ、錆、変質等の弊害を避けるため、数ある選択肢の中から乾燥剤の選択に至ることとなります。
そこで乾燥剤を選択される場合、先ず一番に気になるところといえば安全性となります。
一般的な乾燥剤、除湿剤といえば、シリカゲルA型,B型、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酸化カルシウム、クレイ系を使用いたします。
先ずはそれぞれの吸湿特性と安全対策についてご説明いたします。
塩化カルシウム、塩化マグネシウムは吸湿すると化学変化により液化(潮解)します。
このうち塩化カルシウム使用の除湿剤では、容器に液が溜まれば交換するタンクタイプの湿気とりが長年にわたり販売され続けております。
一方、産業用乾燥剤は、有機質および無機質の吸液剤を配合することで、袋内に生じた水溶液を固化(ゲル化)させます。
そのため、液体そのものが外部に漏れることはありません。
また、塩化物ということで、塩素の発生を心配する声もありますが、常温において発生する危険性もありません。
ただし、乾燥剤の入る袋を破らない設置方法が必須となります。
次に酸化カルシウムです。
高温で焼成したものは生石灰と呼ばれ、主に海苔、せんべいの乾燥剤として使われます。
この生石灰は水と反応すると反応熱により90℃ほどになることがあります。
因みにこの温度は可燃物を燃焼させるまでには至りませんが、人体に接すると火傷の恐れがあり危険です。
そのため、乾燥剤として生石灰を使用する際は、水が内部に侵入しないように業界が規定する頑丈な耐水性シートを使用いたします。
つまり生石灰は、中身を取り出すと大変危険ですが、袋から中身を出すことさえしなければ安心してご使用頂けることとなります。
因みにこの生石灰は水を含めば消石灰(水酸化カルシウム)に変化し、こちらは感染対策に必要な土壌の消毒や、農地では、酸性土をアルカリ土に変えるPH調整材として大量に使用されます。
最後にシリカゲルです。
先に挙げた塩化カルシウム、酸化カルシウムの吸湿は化学反応によるものですが、シリカゲルは炭やゼオライトと同じく、大気中に存在する水蒸気を、あらかじめマクロ、ミクロのレベルに設計された孔(穴)に吸着させる物理的な反応となります。
そのため、水と接すると音を立てて割れますが、高い反応熱は発生しません。
このシリカゲルの主成分は二酸化ケイ素が98%以上で構成されます。
このケイ素とは地殻の約60%を占める安定した物質で、ごく簡単に述べると水晶やガラスの成分と考えて頂けます。
つまり、シリカゲルは吸湿しても形状が変化しないため、安全性に優れる乾燥剤といえます。
尚、乾燥剤の選択においては、それぞれの種類ごとに想定する使用状況を確認したのちに、使用量の計算、交換時期とその頻度、およびコストを検証することになります。
産業用除湿剤 ファインドライB 100/200/300/400
B-1200 <コンテナ・倉庫用>
Technos シリカゲルA型/B型