文章版 乾燥剤シリカゲルの使用量の求め方。 JIS計算式より紐解く防湿包装

包装用乾燥剤シリカゲルなどの使用量は、防湿包装方法としてJIS規格(Z-0301)が設けられ、その中に記載があります。

JISにある防湿包装とはカビや変質など、湿気による災害から保護するために包装資材および乾燥剤を用いて乾燥状態に保つ方法ですが、過度の乾燥状態を避けるものはその対象から外れます。

そこでまず包装材ですが、湿気を通しにくい素材を選定、主にポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビリニデンなどの石油系フィルム(ポリオレフィン)を想定します。

次に、その袋は必ず密封することをを条件とします。そのため袋を綴じるために熱シーラーを使用、また、ふたがあるものではしっかりとパッキン(目留め)します。

そして、保存対象はできるだけ乾燥状態にあることとし、紙、ダンボール、当て木、フェルトといった吸湿と放湿を繰り返す材料は、乾燥剤の使用量計算において不確定因子となるため、できるだけ同梱を避けます。

次に包装用乾燥剤です。JIS規格(Z-0701)では代表的なものとしてシリカゲルと塩化カルシウムの記載がありますが、乾燥剤はいずれの種類においても各湿度ごとの吸湿率といった性能評価がデータ化される必要があります。

また、塩化カルシウム単独であれば吸湿後、液化(潮解)するので、たとえばゲル化などの液漏れ対策が必要とします。

こうして袋の材質および乾燥剤の種類が決まり、いよいよ使用量の計算となります。

そこで迎え撃つこととなる湿気、すなわち水蒸気ですが、この分子サイズは限りなく小さく、また絶えず空間移動を続ける厄介な相手です。

そのため、ポリフィルムを使用した上に、しっかり密封したとしても大なり小なり通過し侵入してしまいます。

フィルムの湿気に対する性能評価は、単位面積あたりの湿気(水蒸気)を透す透湿度(g/㎡/24h)によって表されます。

また、乾燥剤においては湿度による条件ごとに、どの程度の量を吸湿するか測定した吸湿率(%)により、性能(特長)が示されます。

この包装用フィルムの湿気を保護するバリヤ性と、乾燥剤の性能の優劣は、使用条件とともに使用量に大きく影響します。

以下は乾燥剤使用量を求めるJISの計算式となります。ここで一度だけ計算式が登場しますが、なにとぞご容赦ください。 

           R・A・t・(h1-h2)・k1

W(乾燥剤使用量)= ・・・・・・・・・・・・・・・   + K2・D 

          (C2-C1)×10-2     

くわしく知りたい方はこちらをご覧ください。

この見るからに難しそうな計算式を、分子、分母と付加条件の3つに分けて考えますと・・・

  (使用環境)・(フィルムの透湿度)・(設定条件)
W    =———————————      +     同梱する吸湿材

         (乾燥剤の吸湿性能)                (付加条件)

かなり強引ですが、言語に置き換えると上のようになります。

さて、当たり前のようですが、割り算は分子を分母で割ります。この法則をそのまま上の式に当てはめると分子の部分と付加条件が大きくなるほど乾燥剤の使用量を増やす必要があるといえます。

つまり、分子でいえばフィルムの性能が低い、包装する環境が悪い、袋内の湿度を低く設定するとなれば必然、乾燥剤の使用量が増えていきます。

次に分母でいえば、設定条件下での使用乾燥剤の性能がよければ、その分、分母の数字は大きくなるため使用量も少なくて済むということになります。

最後に付加条件でいえば、同梱するものに吸放湿する材料が多くあれば、その分は湿気として付け加える

必要があります。

ここでは単純に不確定因子を数値化し、そのまま重量を掛け合わすこととしています。

つまり、吸放湿する材料を袋内に入れるほど、乾燥剤は多く使用しなくてはならないことになります。

このように計算式を文章で分解してみると、防湿方法のアプローチが理解できます。(次のブログで内容を更に分解します)

乾燥剤の使用量についての問い合わせ先

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